文子、まもなく、君が亡くなってから20年目の闇が来る。
だから、もう逃げるまい。僕は君を見据えようと思う。
今日は11月17日、僕たちの出会いの記念日だ。
その夜、君は僕たちの出会いを占じて魔法の札を開いて見せた。
スプレッドも最終結果も覚えてはいない。
ただ、覚えているのは君の開いた二つの札と
最後に告げた厳かな言葉だけ。
最初の札は〈女教皇〉。そして君は言った、「これはあなた」。
次なる札は不吉な〈死神〉。だが、君は眉も動かさず、淡々と静かに告げた、「これはわたし」。
それから暫く君は黙り、ややあって、何かを心に決めたように、厳粛な語調で言った、この出会いは、〈運命〉の出会いである、と。